古文語彙39
第39回 ふみ・て・としごろ・かたち・けしき・けはひ・みち・なさけ・かへし・もと・すゑ・こしのく・おもてうた・ふうが・ほど・よのなか・ちぎり・とく・十二支・とうぐう・きたのかた・つかさ・ぢもく・おとど・かんだちめ・くらうど・きんだちずいじん・とねり・うち・てんじょうのま・つぼね・おほとなぶら・きちゃう・しとみ・すいがい・せんざい・やりみず・とのゐ・めのと・ふるさと・さと・がり・ひじり・あま・うしろみ
ふみ→文・心のこもった手紙、ふみ。
書物、ふみを広げる。
李白の漢詩を、ふみを詠む。
学問、ふみ、の道はきびしい。
て→手・筆跡、文字を上手に書く、てよくかく。
としごろ→長年の間、としごろ、よくつきあって親しくしてきた人。
かたち→貌・姫の容貌が清らかで美しい、かたちきよらなり。
けしき→気色・物思いにふけっている様子、ものおもへるけしき。(視覚)
けはひ→気配・秋の様子、あきのけはひ。(視覚以外で感じる雰囲気)
みち→道・専門の方面を学ぶ人、みちを学する人。
仏道、学問、芸術など。
なさけ→情・優雅で情趣を解する心、風流心の深い僧、優になさけふかきひと。
かへし→いただいた歌の、返歌を、かへしを、箱に入れて返す。
もと・すゑ→本・末・多くの歌の上の句を、もとを、仰せになって、この歌の下の句は、すゑは、何かとお尋ねになる。
こしのく→和歌の第三句・中心となる句(腰折れ・上の句と下の句がうまくつながっていない)
おもてうた→私の作品の中では、この和歌が、代表的な歌と思っています、これをなむ、おもてうたとおもひたまふる。(たまふる・下二段)
ふうが→お前はともに俳諧を語るにふさわしいもの、ふうがをかたるべきもの、である。
ほど→程度・身分・時間・空間→明るさは毛穴まで見える程度である、みゆるほどなり。
更衣と同じ身分や、おなじほど、それより低い身分の更衣たち。
時間がたてば、ほどへば、気が紛れる。
遠い距離である、はるかなるほどなり。
よのなか→男女の仲のこと、よのなかのこと、はよくわかっている。
ちぎり→むだになってしまった約束、あだなるちぎり。前の世においても因縁が、おんちぎりや、深かったのだろうか、この世にまたとないほどの美しい男のお子様までお生まれになった。
とく→徳・商売の、利益が自然と出てきて、とくおのづからありて。
十二支→時間(夜中の11時から午前1時・子の刻)方位(子が北)
とうぐう・春宮→皇太子の住む宮殿・東方は春の季節に配置する五行説。
きたのかた→寝殿造りの家屋で、奥の方の、北の対屋に住んでいるのは、妻、奥様。
つかさ→役所、つかさに命令して、役人、つかさを呼び出す。
任命の儀式において官職を手に入れられない家、つかさえぬひとのいへ。
ぢもく→目録から前任者の名前を除き、新任者の名前を書きこむ。
地方官は、あがためしのぢもく、中央官吏はつかさめしのぢもく。
おとど→御殿の造り具合、おとどのつくりざま、や飾り付けの様子がすばらしい。
この大臣、このおとど、にはこどもがたくさんいらっしゃる。
かんだちめ→摂政、関白、太政大臣、左大臣、右大臣、大納言、中納言、参議まで会議に参加できる三位ランク以上のスーパー貴族。清少納言の時代で全国で二十三人。
てんじょうびと→天皇が仕事をしている部屋である殿上の間に上がることが許された上級貴族。
原則三位、四位以上で紀貫之は知事レベルですが昇殿できません。
四位、五位でも特別の許可があれば殿上人になれたようです。
清少納言の時代で百人程度。
くらうど→皇室の文書、道具の納めてある蔵を管理する人。天皇の日常生活の衣服、食事も世話し、訴訟、天皇へのメッセンジャーとしての事務管理、除目、節会などの儀式などを執事として執り行った。
きんだち→きみたち・きむだち(君は敬称、たちは複数)身分の高い人の子供。
男女どちらでも、複数単数どちらでも使う。
ずいじん→弓矢、刀を持つ貴族のガードマン。
近衛府に勤めている近衛兵が朝廷の命令に応じて貴族を護衛した。
現在は警視庁に皇宮警察という付属機関が設けられていて、普通の警察官とは違う皇宮護衛官という公務員が近衛兵の仕事をしている。
制服も君らの知っている警察官のものとは全く違い、桂離宮などの見学をするときなどは、見学者に付き添い、悪さをしないか見張られている。(不審者と思われたのか、私から離れようとしなかった。)
皇族の参拝などの先払いをする護衛官が今でも存在する。
とねり→下級役人、掃除、洗濯、宿直、護衛、馬の口取り、牛を引いて牛車の運転、何でもやる。
うち→宮中。
てんじょう→殿上の間は清涼殿にある。天皇が普段の仕事をしておられる建物。
つぼね→大きな建物の中の仕切りをした小部屋。
板や壁で固定的に仕切りを付けた部屋、一時的に几帳や屏風で仕切った部屋の両方を局と呼ぶ。
ざうし→宮中、役所の中の部屋。曹司。
局も曹司も小部屋だが、局は主として女性の使用が多いようだし、曹司は男女ともに執務室と言ったイメージがありそうだが、明確な違いはわからない。
曹司は中国の男性官僚の部屋の呼称であり、その影響からか平中物語などは局は使われていない。
落窪や宇津保あたりから局の用例が増えていると先生から聞いたことがある。
おほとなぶら→大殿油は宮中で使う脚の長い台の上の皿部分に油を入れ灯心を使った明かり、灯火であり電気スタンドのようなもの。
きちゃう→保健室にあるような仕切りの移動式のカーテンのようなもの。
Tの字の形をした横木に柱を付けた形で横木に帷子・かたびらという吹き流しをばらしたような布を垂らして作られている。
しとみ→障子の格子の部分に、紙ではなくベニヤを張ったような戸。
すいがい→透き垣・板や竹で少し間をあけて作った垣根。
せんざい→前栽・自然のままの山野の姿をそのまま移そうと春や秋の草木を植えて庭の植え込みを作った。
やりみず→外部から引き込んだ水の流れを、寝殿造りの家屋の寝殿と対の屋の建物の間を廊下に沿って流れるようにし、さらに緩やかに曲がりながら池に注ぎ込むように作った。
自然の美しさを愛でるとともに、京都の暑さをしのぐという庭園設計に基づいたちいさな流れ。
とのゐ→職務として貴族の家に宿泊して警護、事務等の仕事をすること。貴族との話し相手もしていた。
めのと→母親に代わって貴族の子供に乳を飲ませ、守り育てる仕事をする女官。
乳が出ると言うことは自分にも幼児がおり、この子を乳母子という。
ふるさと→生まれ故郷という意味もあるが、古くからのなじみの土地もふるさとという。
さと→宮中に仕えている人が、内裏・うち・宮中に対して自分の実家をさとと言う。
がり→許・京都にいる医者の所へ連れて行く、くすしのがり、ひきゐていく。
ひじり→柿本人麻呂は歌の道で最も優れた人であったよ、柿本人麻呂なむ、うたのひじりなりける。
あま→海人・漁師の釣り舟、あまのつりぶね。
うしろみ→この社長が、きっとこの子の後見人、世話をする人なのでしょう、この子の、うしろみなるべし。